青木義紀 牧師

 聖書の中に、ザアカイという一人の男が出てきます。「正義」とか「正しい」という意味を持つ名前です。正しくまっすぐに生きるようにという、親の期待を込めてつけられたのだと思います。それは、ユダヤ社会においては、神に向かって真っすぐ誠実に生きるということを意味しますし、それによって人間関係も円満であることが含まれていました。

 ところがこの人は、そのどちらもうまくいかない状態でした。彼は、取税人という仕事をしていましたが、これがユダヤの同胞からは非常に評判の悪い仕事でした。当時ユダヤの国は、ローマ帝国の属州で、ローマに献上する税金を課されていました。ローマから遣わされた役人は、ユダヤ社会に不慣れでしたから、現地で働き人を雇って、彼らに実際の税金徴収をさせました。つまり取税人は、ユダヤ人でありながら、敵国に献上する税金を同胞のユダヤ人からかき集める仕事をしていたので、ユダヤ人仲間から「裏切者」とか「売国奴」と呼ばれて嫌われていたのです。そして、神の民であるユダヤ人から集金し、異邦人であるローマに献上するのは、神への裏切り行為でもあり、神に忌み嫌われた者、「罪人」だと考えられました。

 しかも取税人は、定められた額以上に税金を取り立てて、その差額を懐に入れて私服を肥やすことを常習としていたと言います。ですから、お金はありました。裕福な生活をしていました。しかし、神との関係のもつれと人間関係の破綻が、彼の心を大きく傷つけ、常に満たされない思いを抱えていました。彼の心は、すさんでいたのです。「俺の人生こんなはずじゃなかった」と思っていたでしょう。いやむしろ、もう開き直って、「所詮、俺の人生なんかこんなものだ!もうどうなったって、構いやしない!」と人生を諦めていたかもしれません。変われるのなら変わりたいけれど、そんなことは無理に決まっていると、99%諦めかけているような人生。それが、ザアカイの人生でした。私たちの中にも、そんな思いがないでしょうか。本当は、もっと真っすぐ誠実に生きたい。明るく公明正大に生きたい。でも、どこでボタンを掛け違えてしまったのか。気が付いてみたら、自分が望んでいた人生とはずいぶん違ってしまった。そんな現実を生きている人はいないでしょうか?そんな人生から脱却したいけれども、ちょっとやそっとの変化では変わりそうもない。あるいは、何をどこから手をつけたら良いのかわからない。とにかく何とかしてほしい。もし、そんな思いが少しでもありましたら、ぜひこのザアカイの人生脱却劇を参考にして頂きたいのです!

そんなザアカイの住む町に、イエス・キリストがやってくるという噂が飛び込んできました。各地で不思議な業を行ない、不可能と思えることを可能にしてきたという、不思議な力をもつイエス・キリストがやって来るというのです。ザアカイの頭に、こんな一抹の期待がよぎります。「もしかしたら、この方の力によれば、俺の人生も少しは変わるかもしれない…」。そして、「ダメでもともと」という思いで、とりあえずその姿だけでも見ておこうと、彼は出掛けて行くのです。出掛けて行くと、すでに町中の人々が殺到していて、背の低いザアカイにはとても見ることができません。そこで、近くにあっていちじく桑の木に登って、その葉陰からこっそりとイエスを目に焼き付けようとするのです。ところが…。思いもかけないことが起こります!何とこの方が、一直線に自分の方に歩いて来て、自分を見つめて「ザアカイ」と声を掛けてきたのです!何と、自分のことを知っていてくださった!しかも、親密さの表われとして、今日は自分の家に泊まって客となってくださるというのです!それは、ザアカイ自身をありのままで受け入れてくれるということを意味していました。

彼は、この理解者、自分を丸ごと受け入れてくれるイエス・キリストと出会って、心溶かされ、大きく人生を変えられます。人の財産を不正に奪い取ることを何とも思っていなかったザアカイは、「私の財産の半分を貧しい人たちに施します」と自ら申し出るようになります。自分の私服を肥やすことで満たされない思いを紛らわし、人からだまし取ることばかり考えていたザアカイは、「だれからでも、私がだまし取った物は、四倍にして返します」と自ら償いの行動に出るのです。

何が、彼をここまで変えたのでしょうか?それは、イエス・キリストとの出会いです。神であるこの方の存在と、その力が、私たち人間を内側から造り変えるのです。そんなバカな!宗教のまやかしだと、思うかもしれません。実際にわたしもそう思っていました。宗教は、うさんくさい。宗教だけは関わりたくない。でも、本当に変わるのです。私のような、どうしようもない人間でも変えられました。あなたの人生も、必ず変えられます。必ず、すばらしい人生になります。そしてそれは、たとえ苦しみ悲しみに陥っても、決して奪われることのない喜びに満たされた人生になります。

 この、どうしようもない牧師を見るだけでも結構です。ぜひ一度、教会にお越し下さい。

 一人でも多くの方と出会えることを、心から願っております。

遠藤芳子 伝道師

単なる希望を置いているだけなら - 遠藤芳子先生
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